4月1日より、平成29年度の狂犬病予防接種がスタートいたしました。
狂犬病予防法によって、飼育されているすべての犬は年一回の狂犬病ワクチンの接種を義務づけられております。
犬の飼育者の皆様はこの時期に狂犬病予防接種をお願いいたします。
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狂犬病予防接種は動物病院では一年を通じて接種ができるものですが、規則により4月1日~6月30日での接種が求められています。当院でもそれに合わせて、行政への「代行手続き」を行うことで飼い主様のご負担軽減となるように努めております。
当院での「代行手続き」につきましては「船橋市」もしくは「市川市」に畜犬登録をされている方で、当院で予防接種を行った方が対象となります。
お手続きの際には自治体から郵送される「狂犬病予防接種実施のお知らせ」が必要になりますのでご持参ください。紛失またはお持ちでない方はご予防接種のご予約のお電話の際にスタッフにお伝えください。また、手続きには予防接種と同時に登録料・済票料など自治体に支払う費用が生じますので合わせてご用意ください。
※当院にて手続きを実施した場合には狂犬病予防接種済票がご自宅に発送されるまでに最大1~2ケ月程度のお時間を頂戴致します。
当院以外での集合注射ご希望の方は以下のリンクを参照ください。
ご不明な点はリンク先の自治体、獣医師会までお問い合わせください。
ー>市川市
ー>船橋市、鎌ヶ谷市、習志野市、八千代市
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ところで、「狂犬病」とはいったいどういった病気でなぜ予防接種が必要なのでしょうか?
狂犬病は犬が人間への感染の橋渡しをすることが多い人獣共通感染症のひとつです。犬と同様、人間生活に近い猫や、牛馬などの家畜、げっ歯類などの野生動物を含めた「すべての哺乳類」に幅広く感染を起こし、そうした媒介動物(下図)が人間社会に脅威を与える伝染病です。
狂犬病は診断・治療の非常に困難なウィルス感染症で、毎年全世界で5万人以上が死亡しています。人間では症状が出るまでの潜伏期間が1~3か月と長く、診断も難しいため、感染の自覚がなくしばらく経過した後に狂犬病に特有な激しい脳神経症状を発症します。
その死亡率は限りなく100%に近く、狂犬病から生き延びたのは記録に残っている範囲では10人に満たないといわれております。最近では2008年に米国で8歳の少女が狂犬病から生還したということが大きなニュースとなりました。
戦後の混乱期に我が国では多くの死者を出してその猛威を振るいましたが、国内では現在撲滅されており、その発生は昭和30年代以降、記録がありません。このため日本は数十年にわたって狂犬病清浄国となっています。一方、世界的には未だ蔓延しており、特にアジア、アフリカ、南米などが流行地域になっています。
最近では平成18年にフィリピンより帰国した男性が現地で狂犬病ウイルスに感染し、帰国後に発症、死亡したことが確認されています。
また、昨年9月に清浄国とみなされていたお隣、台湾での発生が認められました。台湾での発生は海外からの侵入ではなく、野生動物によって保持されていたウィルスが犬に感染したもので、台湾社会を震撼させたのはまだ記憶に新しいニュースです。
犬への狂犬病の予防接種は人への感染機会の多い犬を予防することで、人間社会への狂犬病ウィルスの侵入を防止する効果的な手段としてわが国では採用されています。
現在の狂犬病予防法で求められている予防は、その犬1頭への感染を防ぐことではありません。狂犬病の侵入時に再び蔓延しないための飼い犬の集団免疫をかたちづくるためなのです。これを目的とするために強制力のある法律の義務として飼い主さんに課しているというものです。
「高齢だから」、「かわいそうだから」、「お金をかけたくない」から予防接種をしないという選択できません。いわば罰則を伴う社会責任のひとつと言えるでしょう。
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人や動物の国際間の行き来がより頻度も増した現在では、国内への狂犬病の侵入の恐れはむしろ増大しているのが現状です。
海外から輸入される様々な愛玩動物も増加しており、その検疫体制は決して充分とはいえません。むしろ、狂犬病が予想外の経路で侵入することを常に想定しなければならないのが現状です。もしかしたら既に国内に侵入して野生動物の間で犬や人間への感染の機会をうかがっている状態かもしれないのです。
狂犬病は撲滅された過去の病気だから、もう日本では発生しないだろうという楽観的な根拠は全くありません。
最後に下の図をご覧になってください。赤とピンクで塗られた地域は狂犬病が現在発生し続けている地域です。それと比べると日本をはじめとする青い色の狂犬病清浄地域はわずかに数えるほどしかないという現実をご理解いただき、狂犬病予防の重要性をあらためて考えてみられてはいかがでしょうか。
※図は厚生労働省のホームページより引用しました。
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あいむ動物病院 西船橋
看護師マネジャー:植草 悠生
文責:病院長 井田 龍
下記、診療コラムで「狂犬病予防について」を少し掘り下げてみました。ブログと一部重複する文章がありますが、よろしければご覧ください。
ー> 「狂犬病とは何か?」