>>>プルーン(ドライフルーツ)とその危険性?
プルーンは近年の”健康志向”の強まりによるドライフルーツ需要の影響により、デーツなどと並び最も勢いのある素材のひとつといわれています。
その他にもいちじく、杏子(あんず)、マンゴー、アプリコット、クランベリー等その素材の種類は多岐に及び、”プレミアムおやつ市場”の拡大に伴って、ご家庭でも見かける機会が増えているのではないでしょうか?
こうした中、プルーンは数あるドライフルーツの中でも代表的な素材のひとつとなってきており、それに伴って犬が誤って食べてしまう例が増えてきていると思われます。(ドライフルーツは総じて噛みごたえがよく、糖度も高いため”一気喰い”につながりやすい食材です)
プルーン誤食に遭遇した際には、同じドライフルーツとしての連想からレーズンと同じように危険なのでは?」と心配される飼い主様が少なからずいらっしゃいます。
実際にネット情報では、プルーンはこうした”危機感の顕れか、レーズン(干しブドウ)と並んで、ドライフルーツの中で最も与えてはならないモノのひとつ、という大きなネガティブ要素から注目を浴びてしまっているようです。
>>>プルーンの何が問題なのか?
その理由としては、プルーンには”猛毒のシアン化合物(≒青酸カリをイメージさせる)が含まれる”という”意味合いの情報”がほぼ一貫して”注意喚起”されており、それが危機感を増幅する原因となってるからかでしょうか。。。いわゆる獣医師監修を謳う記事においても、犬には命の危険性がある食材であるという情報が散見されます。
ところが実際には、既存の獣医学的な報告では”プルーンの果肉そのもの”にレーズンのような致命的中毒を引き起こすような特定の物質は確認されていません。
もちろん、プルーンは”犬に積極的に食べさせた方が良い”という食材では決してありませんが、危険性に対する情報の多くにややズレや行きすぎた面があるように思います。
プルーンがシアン化合物を含み有毒である”と見なされる理由は、”植物学的”な毒性がある「種・茎・葉」を含む”植物全体”という意味あいでの危険性が、そのまま根拠として引用されてしまっているためでしょうか。ネット情報のリスクコミュニケーションの観点から一人歩きした結果なのかもしれません。
実際には”乾燥プルーンの果肉そのもの”は、少量であれば食べても問題はありません。基本的な注意点は他のドライフルーツと同様のものです。(※少量に止め、種が含まれているものは決して与えない)
>>>プルーンに含まれるソルビトールの問題
プルーンには果肉に緩下剤として作用を示し”お通じ”をよくする作用を持つ、ソルビトールが他のドライフルーツよりかなり多く含まれています。このため、その浸透圧性下剤作用により下痢など消化器症状がより強く出がちですので注意が必要です。(下図をご覧ください)
そもそも乾燥プルーンは糖分や食物繊維などが他のドライフルーツと同じように”強く濃縮”されています。大量に食べるとそれらドライフルーツ共通でも見られる腸内環境の激変によって、嘔吐や下痢・腹痛・腹囲膨満(お腹がパンパン)などが生じます。
プルーンの場合、原因としてのソルビトールがさらに加わることで、より強い消化器症状を起こす可能性が高まります。
プルーン(種を含まない)を大量に誤食したり、知らずにたくさん与えてしまった場合の危険性はシアン化合物による中毒ではなく、むしろ下痢・嘔吐を始めとするさまざまな消化器症状にあると言えるでしょう。
>>>誤食してしまったら。。。
一部の乾燥プルーンには”種が残っている製品”もあるようです。プルーンをはじめとしたプラム類(ウメ、モモ、ビワも同様)では”シアン化合物”が種の殻の中にある”仁”に微量に含まれています。
仮に種ごと噛み砕いて食べたと仮定すれば胃で微量のシアン化物が発生する可能性”はあり、わずかではありますが中毒の可能性も考慮すべきリスクとなるでしょう。
ただ、種はとても硬いため”噛み砕くのが難しく、そのまま飲み込まれても胃では消化されないため、毒物が吸収される危険性はほぼありません。このため中毒よりはむしろ”種が引き起こす食道や胃・腸での閉塞や窒息のような事故”をより警戒することが現実的であろうと考えられます。
そのため、犬がプルーンを食べてしまった場合には、「プルーン=”猛毒”だから危険」と一律に考えるのではなく、”どのくらいの量を食べたのか”、”種が付いていたかどうか”、”犬の体重(小型犬かどうか?”)、”持病の有無”といった点を総合的に評価することがとても重要です。
実際の医療現場ではドライフルーツのプルーン果肉はレーズンのような強い毒性を持つ食品とは考えられていません。実際には”種なし”かつ少量であれば、経過観察となることも少なくありません。
ただし、”大量に食べた場合”や”種ありプルーン”を飲み込んだ場合、”嘔吐を繰り返す”、”元気がない”、”腹部が張ってくる”、”吐こうとするのに吐けない”といった症状がみられる場合には要注意です。
繰り返しますが、乾燥プルーンの果肉自体は毒性を持ちませんが消化器症状が強い場合などでは、”種による消化管閉塞”の可能性など、考慮すべき点は明らかに存在します。安全のために、誤食に気づいた際には”食べた量”や”種の有無”を確認したうえで、持病や犬の体重等含めて早めに動物病院へご相談ください。
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”犬が誤食しやすい”と思われるドライフルーツのリスト、および誤食してしまった場合の危険度の大まかな目安を下記にまとめました。参考になさってください。
※下図にある ”いちじく”が含有するフィシン・ソラレンに関して、犬への毒性の指摘もありますが、それぞれ”製造過程で失活”、”もともと果肉中の含有量がもともと少ない”などの理由により、他のドライフルーツと同様に少量の摂取では問題がないと考えられます。
※本記事はプルーンを始めとするドライフルーツを”常食として、または健康増進のために積極的に犬に与えること”をお勧めるものではありません。
意図せず誤食してしまった場合や、”知らずに与えてしまった際の注意点や危険性(安全性)”を飼い主様に正しくお伝えすることに力点を置いています。
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文責:あいむ動物病院 西船橋
代表獣医師 井田 龍