施設案内
ごあいさつ
「動物医療」は黎明期の昭和から令和に至る数十年以上の歩みの中で、医療レベルの進歩だけではなく、それに伴う医療体制の充実や医療スタッフの果たすべき役割や患者様への向き合い方に至るまで、すべてが「より良い動物医療を提供するために」そのあり方を変化させて参りました。
近年、動物医療の高度化や細分化は既に成熟期に入った感がありますが、デジタル化をはじめとする医療支援技術の進歩により、医療を取り巻くハード、ソフト面での進歩は今後もかたちを変えて着実に続いていくであろうと思います。
このような時代背景により動物医療の選択肢は確かに多くなりました。
動物病院の大規模化や高度医療、最新設備を用いた動物医療の必要性はもちろん時代の要求でしょう。
一方で、いかにハード面での進歩が素晴らしくとも、医療行為の原点というものは常に医療者の「こころ」であり「人の目と手」であります。これらは時代や技術の変化の元でも変わることなのない医療の本質であるのもまた事実です。
いかに優れた医療技術も蓄積された知識や経験や、忍耐強く適切な観察に基づく判断がなければその真価を発揮することができません。また、医療行為はその過程において患者動物や飼い主様へ常に寄り添うものでなければなりません。
言葉で表現できない動物達へ適切な選択や機会をもたらすために、当院では以下の規範を原則として医療者は職務を遂行いたします。
- 対話を重視する医療
Communication Based Medicine - 一般常識を忘れない医療
Etiquette Based Medicine - 人と動物との絆を重視する医療
Bond Center Practice
病気で苦しむ動物たちとその飼い主様のために動物病院は存在します。
動物医療に携わる者としての基本を常に忘れずに、たゆまぬ努力を重ね歩んで参りたいと考えております。
施設ギャラリー
外観
受付
診察室
外観
医療設備
1.設備〈画像検査〉
超音波検査装置 #1
(第2診察室)(日立製作所・ARIETTA 750SE)
超音波検査装置は体内臓器に向けて放射した超音波の音響反射(ソナー)を映像化することで内臓の状態を検査する装置です。レントゲン検査がX線放射による体内の一瞬を切り取る写真画像なのとは対照的に、超音波検査はリアルタイム動画による内臓の観察というイメージです。近年のデジタル化による技術革新が最も目覚ましい分野のひとつであり、ARIETTA 750もこうしたテクノロジーの恩恵を最大限に受けています。さらに超音波検査装置の進歩は高画質化にとどまらず、様々な臓器や疾患に対する診断補助機能やネットワーク化による検査品質の改善にも及んでいます。 超音波検査機器の進歩が提供する、迅速でストレスの少ない検査環境は動物医療におけるさらに高いレベルの超音波検査を可能にしています。
超音波検査装置 #2
(処置室)(富士フイルム・SonoSite M-TurboV)
近年、超音波検査装置の高性能化と小型化により、その機動性を利用する「ポイント・オブ・ケア超音波」という検査のかたちが広まっています。 検査室まで移動せずに、より早く手軽に必要な情報をリアルタイムに得ること、超音波検査が患者さんの傍らで人間の五感の延長として簡単に行える時代になりました。 超音波検査装置、SonoSite M-TurboVはその高い機動性を得るために「ノートPCのような軽量コンパクト」・「電源不要の高いポータビリティ性」・「10数秒で検査が開始できる迅速性」・「強い衝撃、水没に耐えるタフネス」という、高画質や多機能優先の検査室用の汎用機を箱となる、いつでもどこでも、どのような環境でも使用できるという特長を持っています。 こうしたポータブルエコーは救急医療や、移動制限のあるような入院動物のチェックなどで活躍します。
DRレントゲンシステム
(富士フィルムメディカル・CALNEO Smart V)
レントゲン検査装置は獣医療に欠くことができない検査機器です。 近年の装置はレントゲンフィルムを用いないデジタル処理化により、画質の向上だけではなく、放射線による被曝がより少ないという特長を持っています。 当院のレントゲン検査装置は第二世代のDRと呼ばれる最新のデジタル規格です。医療現場からレントゲンフィルムを駆逐した第一世代のデジタルレントゲンと比べても、よりコントラストが高く鮮明な高画質、10分の1程度の低被曝による撮影が可能です。また、撮影手順の大幅な短縮による動物へのストレス低減や、レントゲン画像のデジタルネットワーク化への対応がより進んでいます。
レントゲン照射装置
(島津メディカルシステムズ・PETMATE SXA-10S)
レントゲン撮影を行うためのX線照射装置は「撮影に最適な持つX線」を「より高出力」で「より短時間」に照射するための技術的な向上が積み重ねられてきました。 同時に、様々な大きさの違いのある動物に対して撮影条件の自動化をはじめとして、撮影者により優しい方向での操作性の改善にも及んでおります。動物病院特有の煩雑さをより少ない方向へ。 こうした進歩がレントゲン検査装置のデジタル化の進歩と歩調を合わせるように、動物達への負担軽減と時代が求めるより一層の低被爆化が達成されています。
内視鏡システム
(富士フィルムメディカル・LASEREO)
当院の内視鏡システムは、旧来の“ランプ”光源による光ではなくレーザー光を用いた次世代内視鏡システムです。より明るく見やすいという基本性能の向上に加え、2種類のレーザー光「白色光レーザー」と「狭帯域光レーザー」という特殊な光線を様々なパターンで照射しながら見逃しの少ない画像が得られます。白色光レーザーはより質の高い自然な画像を、さらに狭帯域光レーザーという特殊な波長の光を光源として組み合わせることで、粘膜の微細な血管やわずかな変化をより鮮やかに映し出します。漫然とした観察ではなく目的に応じて対象物の異常を切り分ける、炎症や“がん”など旧来の内視鏡検査では判別の難しい早期がんや炎症部位の変化を捉える能力に大きなアドバンテージを持つ次世代のハイビジョン内視鏡です。当院ではレーザー光源専用のスコープ(5.8mmと9.9mm)の2種類を用意し、さまざまな大きさのバリエーションを持つ動物に対して対応が可能となっています。
2.設備〈入院〉
ICU装置(猫、小~中型犬対応)
(東京メニックス・ICU-550)
呼吸器・循環器系をはじめとするあらゆる重症疾患や手術後の回復室としても使用します。速やかに高い酸素濃度環境にできるだけでなく、温度、湿度をコントロールすることで、衰弱した動物に対してストレスを最小限に抑えて治療を行うことが可能です。 この中型のICUケージは小動物から中型犬サイズまでの幅広い対応ができます。
ICU装置(猫、小~大型犬対応)
(太陽電子・アルタス2)
呼吸器・循環器系をはじめとするあらゆる重症疾患や手術後の回復室としても使用します。速やかに高い酸素濃度環境にできるだけでなく、温度、湿度をコントロールすることで、衰弱した動物に対してストレスを最小限に抑えて治療を行うことが可能です。 このICU装置は大型犬の管理が可能ため、小さな装置では管理の難しい大型犬まで幅広く対応ができます。
犬専用入院区画
犬の入院スペースは遮音構造のため、入院動物の鳴き声が漏れにくい構造になっており、入院室内外の患者さんへのストレス が少なくなっています。また、入院室内は強力なオゾン脱臭装置と環境音により、入院動物に対するストレス軽減を考慮しております。 当院では犬の入院スペースを9室用意しております。
猫専用入院区画
猫専用の入院スペースを設けております。犬用入院室との充分な距離と遮蔽を確保し、防音室用の遮音パネルで区画されております。 柔らかな採光、静かで猫に対してのストレスの少ない環境を提供できます。 当院では猫専用の入院スペースを12室確保しております。
3.設備〈診察〉
動物専用血圧計
2台(OlympusAVS、PetMap graphic、PetMAP graphicⅡ)
動物の血圧測定は煩雑で不正確なものでしたが、この機器により診療室内で短時間での血圧測定が可能となりました。興奮しやすい動物や猫でのより正確な測定ができるため、慢性腎臓病や循環器疾患の診断治療、観察に欠かせないな検査機器です。
デジタルマイクロスコープ
5台
顕微鏡検査は便検査や尿検査をはじめ、血液塗抹検査(目視で血球の評価を行うこと)や腫瘍などのバイオプシー検査の評価などの診断に欠かせないものです。 デジタル化された顕微鏡は得られた画像の解析や顕微鏡画像を大画面のディスプレイに表示することで飼い主の方も一緒に確認できるため、説明内容の分かり易さ向上に役立ちます。4室ある診察室にそれぞれ専用の顕微鏡を設置しています。
眼科用スリットランプ
(SHIN-NIPPON、LEDスリットランプ XL-1)
眼の表面(角膜)とその奥にある全願望、水晶体、硝子体をはじめとする眼内の検査に用いる眼科専用の医療器具です。LED光源により明るく、コントラストの高い画像が得られるため、わずかな病変も明瞭に観察できます。
無散瞳底カメラ
(Meni-One、ClearView)
網膜は視力になくてはならない組織です。この網膜を評価するために眼底検査が実施されます。無散瞳眼底カメラは薬剤によって散瞳させる(動向を開く)必要性が少ないため、短時間にストレスの少ない環境で検査を行うことができます。 通常は観察しにくい動物の眼底を効率よく検査でき、大型の ディスプレイに表示することで飼い主の方も一緒に確認することができます。
4.設備〈手術〉
エネルギー手術システム
(オリンパス:ESG-400・USG-400)
本システムは超音波や高周波の2つのエネルギーを発生させて、組織の切離や止血などの操作を行うエネルギーデバイスのコントロールを行う手術装置です。超音波・高周波エネルギーを発生・制御するUSG-400・ESG-400で構成されており、高性能な電気メス装置としての機能も併せ持っています。本装置によって対象とする組織の状態に最適な高周波と超音波による”サンダービート”および、超音波よる”ソニックビート”の機能を持つデバイスの使用が可能になります。
手術用エネルギーデバイス
(オリンパス:サンダービート・ソニックビート)
外科手術用エネルギーデバイスとは、縫合糸なしで迅速に血管を圧着させて塞いだり、組織の切開や”はく離”を行う機器の総称です。高周波や超音波などの高エネルギーにより血管や組織を変性させて血管の壁同士を圧着し、安全に切断して切り離すことで安全確実な手術をサポートします。 当院が導入している”サンダービート”は、従来は高周波シーリング、超音波シーリングのように別々の機器を用いなければ実現できなかった機能をひとつのデバイスに統合した世界初の手術用器具です。迅速で信頼性の高い血管処理の能力と切開凝固能力を高いレベルで併せ持ち、既存の血管シーリングデバイスに比べて機能性、安全性が大幅に上昇しました。
動物用デンタルユニット
(ナカニシ・VIVA ace)
犬猫の高齢化が進んだ現在、動物病院における獣医歯科治療のニーズの高まりにより、人間の歯科クリニックでなされる様々な治療が求められるようになってまいりました。 この機種は、人間の歯科向けに開発された小型デンタルユニットです。歯科医院で求められる治療クォリティを動物病院へ。高性能マイクロモーターや超音波スケーラー、3wayシリンジ、バキュームなどさまざまな歯科治療に対応できる高機能システムを小さな筐体に凝縮しています。これまでになかった高度な機動性で、より確実な歯科治療をサポートします。
超音波結石破砕装置
(ナカニシ・Varios970)
いわゆる歯のクリーニング、歯石除去での歯石破砕(スケーリング)を行う機器ですが、尿道結石の破砕など様々な部位、処置において多用途に使用できます。また、抜歯の際に今まで手作業で時間がかかっていた歯肉と歯の接着の剥離を安全に、短時間にできるようになったのがこの機種の特徴です。
5.設備〈臨床検査〉
血液凝固分析装置
(富士フイルムメディカル、COAG2V)
「血液凝固因子」の測定を行う装置です。 主に手術前検査の大事な検査のひとつ、体の止血能力を手術前に評価することで手術の安全性を評価することに使用されます。 また、原因のよく分からない出血を起こす病気の原因となる「止血・凝固異常」の診断に必須の検査機器です。 例えば「血友病」などの遺伝性疾患、「腫瘍」や「免疫疾患」によって生じt血ている血液凝固の異常を迅速に検査できます。緊急化しやすい「溶血性貧血」や「血小板減少症」に対してはより迅速な対応が可能となります。
血液ガス・電解質分析装置
(Sysmex、OPTI CCA TS)
主に血液中に溶け込んでいる「酸素」や「二酸化炭素」の測定を行う機器です。 さらに血液の「pH(酸性〜アルカリ性の程度)」をはじめとする生命に関わる「酸塩基平衡」や「電解質」の異常も速やかに測定することができます。 循環器・呼吸器疾患等の病気によるあらゆる緊急時に、落下や交通事故などの命に関わる重大な外傷など救急救命の現場での速やかな治療に役立ちます。 また、遺伝病のファンコニー症候群の診断、治療管理に対しても使用されます。
血液化学・電解質分析器
(富士フィルムメディカル、DRI-CHEM 7000V)
肝臓や腎臓などの内臓系の25項目もの物質の検査(血液化学検査)を様々な組み合わせで同時に行うことができる検査装置であり、動物病院での検査にとってなくてはならない検査機器です。 この機種は同時に5件の患者さんに対して検査を行うことができるため、検査室での待機時間が短縮されスピーディに結果を出すことができます。 検査結果は肝臓、肝機能、腎臓、脂質、たんぱく質、電解質、炎症の有無をはじめとして多岐にわたり、全身に及ぶ内臓系の評価(スクリーニング検査)が可能であるため、健康診断から病気の診断に至るまで幅広く対応することができます。
免疫反応測定装置
(富士ドライケム、IMMUNO AU10V)
血液中に存在する微量なホルモンやその他物質を「免疫反応」という仕組みを用いて測定する装置です。 「甲状腺ホルモン」や「甲状腺ホルモン放出ホルモン」による甲状腺機能検査や「コルチゾール」による副腎皮質機能検査、「総胆汁酸」を用いた肝臓機能検査を行うことができます。 さらに、2019年からアップデートにより猫の炎症マーカー「SAA」と性ホルモン「プロジェステロン」の測定が行えるようになりました。
全自動血球計数器
(日本光電、MEK-6550 セルタックα)
「血球計算」とは血液の中に含まれる「赤血球」,「白血球」,「血小板」等の血球成分を数える検査です。貧血や「血液がん」などいわゆる血液内科の病気はもちろんのこと、あらゆる病気の診断・治療をする上で、血球検査は欠くことはできません。 こうした血球計算のための検査は現代の医療現場では全自動となって久しく、最近では白血球の細かい種別分類も可能になり、より正確性を増してきています。 この機種は白血球4分類を含む血球計算の21項目をわずか60秒で測定して迅速に結果を表示します。
小型尿分析装置
(SIEMENS、クリニック ステータス プラス)
尿検査のための全自動読取式の自動尿分析装置です。 尿検査は膀胱炎などの尿路疾患、腎臓病や肝臓病などの内臓の異常の早期発見や、健康診断などで最も一般的な検査のひとつです。 尿検査は数個から10個程度の検査項目を並べて配置した細長い「尿検査試験用紙」に尿を接触させて、各項目の色の変化により尿の異常を見つける検査法です。以前は手作業で尿検査用紙に尿を接触させ、人の目で決まった秒数で検査項目毎に確認する必要があり、結果にばらつきのある検査でした。こうした人手による曖昧さをなすために開発された機器が尿分析装置です。