>>>フェレットのインフルエンザについて
フェレットは人間と同様にインフルエンザウィルス感染を起こします。フェレットでのインフルエンザは発熱、咳や「くしゃみ」、鼻水などの上気道の呼吸器症状が多くみられます。インフルエンザにはA型とB型、C型がありますが、フェレットで問題となるのはA型インフルエンザの感染によるものです。
インフルエンザ感染は「フェレット→フェレット」、「人間→フェレット」、「フェレット→人間」のパターンがありますが、「人間→フェレット」の頻度が高く、これが問題となります。冬季のインフルエンザ流行の時期には飼い主さんからインフルエンザ感染を受けたと思われるフェレットがしばしば来院いたします。
なお、公衆衛生的に懸念すべき、人獣共通感染症としての「フェレット→人間」のパターンはほとんどみられません。
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ご参考までに、インフルエンザは大きく分けてA型、B型、C型の3種類に分類されます。
A型のインフルエンザは最も一般的なタイプで感染力が強く、頻繁にウイルスの変異を繰り返すために充分な免疫を持つ人口が少なく、世界的に流行しやすいという特徴があります。人間以外にも、鳥、豚、馬などに感染し、フェレットにも感染します。ウィルス変異によって多種類のインフルエンザウィルスが存在します。
B型は人間に感染するウィルスです。感染力は強いですが、免疫を持った人口が多いため大流行は起こしにくいとされています。C型も同様におもに人間に感染しますが、感染力は弱く、ウィルス変異も起こりません。免疫が生涯持続するために流行を起こさないため、あまり問題にはならないインフルエンザウィルスです。
>>>インフルエンザの症状とは?
人間がインフルエンザウィルスに感染した時と類似した症状がみられます。具体的には発熱、食欲低下、元気消失や嗜眠(しみん、寝がちになること)、鼻汁、「くしゃみ」、流涙、結膜炎などが主症状です。また、下痢などの消化器症状を伴うこともあります。
インフルエンザでみられる発熱は2,3日で回復することがほとんどで、その他の症状は1週間前後で快方に向かいますが、若い個体の場合にはインフルエンザ感染は重症化し易い傾向があります。
>>>インフルエンザの診断は?
フェレットでのインフルエンザ感染の診断は周囲の感染フェレットの有無や飼い主さんのインフルエンザ感染状態によって判断されることがほとんどですので人間で行われる簡易検査(ELISA法)はあまり行われません。感染に伴って白血球減少がみられることもありますが、その他の血液検査は正常であることがほとんどです。
>>>インフルエンザの治療は?
治療は栄養管理や皮下輸液などの支持療法が中心になります。発熱や呼吸器症状に対してはケースバイケースで対症療法を行います。人間で使用されるオセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)などの抗ウィルス薬はフェレットでも有効であり、同じく抗ウィルス薬のアマンタジンとの併用はより効果が高いと言われています。
フェレットはヒトのインフルエンザモデルの実験動物でもあり、人間で使用される薬剤がフェレットにも効果があることが多いと思われます。
フェレットにおけるインフルエンザ予防の原則は人間のそれと同様、感染しているフェレットや人間との隔離や接触頻度を下げるということです。また、頻度は少ないですが、「フェレット→人間」の感染を極力防ぐという配慮は異種動物からの人間へのインフルエンザウィルス感染という公衆衛生上のリスクを極力回避するという意味でとても重要なことです。
下記のサイトでインフルエンザウィルスの分かりやすい説明がありますのでよろしければご覧になってください。
>インフルエンザ HOW TO マニュアル
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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍