乳腺嚢胞(のうほう)

>>>乳腺嚢胞(のうほう)とは?

乳腺嚢胞(のうほう)は卵巣から分泌される卵巣ホルモン分泌異常を原因とすると思われる乳腺嚢胞状に薄い乳汁様~褐色状の体液が貯留する乳腺の病気です。

乳腺嚢胞偽妊娠に続いて生じることがあり、偽妊娠との区別は難しいこともありますが偽妊娠が2~3週間で終息するのに対して胞乳腺嚢は症状が続くのが特徴です。
下の写真が乳腺嚢胞です。ウサギの乳腺は通常は目立つものではなく乳頭以外は外見上もほとんど気にならないものですが、下の写真のように乳腺が全体的に腫れて「柔らかいできもの」のようになっています。写真では乳腺嚢胞乳頭にまで及んでおり、乳頭部分が「水風船状」に膨らんでしまっています。

乳腺嚢胞.JPG

 

>>>乳腺嚢胞の症状とは?

弾力のあるいくつかの嚢胞状に膨らんだ親指程度の乳腺の構造物を触ることで発見されることがほとんどです。症状をほとんど示さないため診察室での身体検査で偶然見つかることが多くみられます。乳腺嚢胞は単一の乳腺だけではなく複数に見られることもあります。脹れには熱感痛み違和感などがみられることはほとんどありません。

 

>>>乳腺嚢胞の診断は?

膨らんだ乳腺を圧迫するとやや色調のある淡色~茶褐色、薄い乳汁のような体液が絞り出されます。圧迫による出が難しい場合には針吸引によって液体の除去と細胞診を行います。液体がなくなればほぼ正常な乳腺と区別がなくなることがほとんどで、腫瘤などが残ることはありません。

下の写真は乳腺嚢胞を圧迫して透明なやや血液が混ざったような内容物を排泄させている写真です。乳腺嚢胞では普通、排泄された液体には若干の炎症細胞がみられる程度で診断的な特徴があまりみられません。

乳腺嚢胞2.JPG

 

>>>乳腺嚢胞の治療は?

乳腺内に溜まった貯留液の除去を定期的に行う場合もありますが、あまり症状もないため経過を観察することも多くみられます。卵巣子宮摘出術を行った場合には一か月以内に消失します。
下の写真が乳腺嚢胞に溜まった液体を針で吸引したものです。普通は、吸引すると乳腺の脹れは元に戻ります。乳腺の脹れなドによる不快感などを伴うようであれば定期的に抜去いたしますが、吸引後しばらくして再発することがほとんどです。

乳腺嚢胞3.JPG

———————————————-

文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

 

AIM ANIMAL HOSPITAL NISHIFUNABASHI
上部へスクロール