>>>ウサギの結膜炎について———————————————-
眼科疾患の中では頻繁にみられる目の異常です。原因は細菌感染、被毛等の異物や微細なゴミや化学物質による刺激、何らかの自己損傷など原因はさまざまです。
また、結膜炎と併発して相互に問題を悪化させる角膜炎、ブドウ膜炎、緑内障などのほか、目の付属組織である涙嚢炎や鼻涙管狭窄、眼瞼(がんけん)及び睫毛(まつげ)の異常や異物など、多岐にわたる異常や疾病と複合した眼病となっていることも多く、注意が必要です。
結膜炎の原因となる細菌感染はさらに併発する上気道感染や歯科疾患からの二次感染のことも多く、それらを考慮に入れた治療を行う必要があります。
>>>結膜炎の症状は?———————————————-
結膜の充血や腫れ、眼脂(目やに)や流涙症、羞明(しゅうめい、まぶしがるしぐさ)などの症状がみられます。眼脂や流涙によって周囲の被毛や皮膚が湿った環境となるため、皮膚炎が生じやすくなります。また、乾いた眼脂が被毛と硬くくっついて周囲の皮膚に不快感を生じ、それを気にする行為から自己損傷をしばしば起こします。
>>>結膜炎の診断は?———————————————
結膜炎の原因となっているもの、また併発している眼疾患がないかどうかに注意を払います。結膜炎は単独よりむしろ他の眼の病気が併発しているケースも多く、さらにその他の器官からの波及によるものも多くみられます。
診断の際には結膜だけではなく、眼球やその付属組織をはじめ、結膜炎に波及する鼻腔など呼吸器の評価や歯根の過伸長を含む歯科疾患に至るまでの幅広い範囲の異常を検索する必要があります。
>>>結膜炎の治療は?———————————————-
結膜炎に波及しているその他の疾患の治療を行うとともに、結膜炎の原因が細菌感染の場合にはできるだけ細菌培養と抗生物質の感受性検査を行い、適切な抗生物質を点眼などの局所使用と内服などの全身使用を結膜炎とその併発疾患の重症度によって選択して治療します。
涙嚢炎や鼻涙管狭窄などの涙の排泄路の異常がある場合には結膜炎の治療に合わせて、鼻涙管洗浄や涙嚢の洗浄を行って感染元の清浄化をする必要があります。定期的な目やにの除去などによる目周囲の清浄化も重要です。
結膜炎などの眼の異常を気にして、掻き毟るなどさらに悪化させてしまう自己損傷を予防するため、エリザベスカラーなどを効果的にを用いるとよいでしょう。
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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍